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うつ病で障害年金を受給するためのポイント

うつ病の患者数は年々増加していて100万人を超えると言われていており、障害年金の請求傷病の中で最も多いもののひとつです。しかし、うつ病だからと言って、それだけで障害年金が受給できる訳ではありません。
うつ病で障害年金を受給するためのポイントや注意点を解説します。

目次
1、初診日の特定
2、障害の程度について
3、診断書の作成依頼
4、病歴・就労状況等申立書の作成ノウハウ

1、初診日の特定

障害年金を申請するためには、まず、初診日を特定し医師の証明を受ける必要があります。
手続きを進めていく上での第一関門と言えます。
初診日が特定できなければ、申請する障害年金の種類も決まらず、また、保険料納付要件もクリアーすることができないため、原則として障害年金を受給することはできません。
障害認定基準においても、「原則として、本人の申立等及び記憶に基づく受診証明のみでは判断せず、必ず、その裏付けの資料を収集する」と記載されています。
一般の方と障害年金専門の社会保険労務士では、初診日の捉え方に大きな差が出ます。
それほど初診日は重要なのです。
一般の方が申請して不支給となった理由で圧倒的に多いのが、この初診日に関する証拠書類不足です。不支給となってから、審査請求や再審査請求の段階で相談に来られる方も非常に多く、最初からお任せいただければ、すんなりと受給できたのにと思われるケースもかなりの数にのぼります。
初診日の立証については、最も社会保険労務士の知識や経験が問われる場面です。
特に病歴の長い方の場合、初診日時点のカルテが廃棄されていて医証が入手できないケースも多いと思います。そのようなケースでは「初診日とは」のページに記載したような客観的な資料をできる限り多く集めることで受給確率を上げることができます。
うつ病の場合、必ずしも精神科や心療内科が初診日になるとは限らず、不眠や気分の落ち込みで最初に内科などを受診していれば、その日が初診日となります。歯科医院の口臭外来の受診日がうつ病の初診日として認められた例もあります。ただし、整骨院や鍼灸院は病院ではありませんので、初診日とは認められません。
また、最初の病院でパニック障害や適応障害などと診断されていた場合も、その病院が初診日となります。同じような症状であっても医師によって診断名が異なることは珍しいことではありません。発達障害や知的障害と診断された後にうつ病を発症した場合も、同様に同一傷病と判断されます。

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2、障害の程度について

日本年金機構の審査では、実際にうつ病によって日常生活や就労がどの程度制限を受けているかが重要視されます。具体的には、障害認定基準や等級判定ガイドラインに沿って支給・不支給が決められます。
障害認定基準に例示された各等級の障害状態は次のようになります。
 

等級障害状態
1級高度の気分、意欲・行動の障害及び高度の思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したり、頻繁に繰り返したりするため、常時の援助が必要なもの。
(介助なしでは日常生活がまったく成り立たない状態)
2級気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したり、頻繁に繰り返したりするため、日常生活が著しい制限を受けるもの。
日常生活が極めて困難で、活動の範囲が概ね家屋内に限られる状態)
3級気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、その病状は著しくはないが、これが持続したり、繰り返したりするため、労働が制限を受けるもの。
(短時間労働や単純労働であれば、かろうじてこなせる状態


具体的には、以下のようなケースで2級以上に認定されやすいと言えます。
 ☑ 入院中、もしくは、最近まで入退院を繰り返していた。
 ☑ 無職、もしくは、長期休職中。
 ☑ 家事がほとんどできない。
 ☑ 通院以外に外出できない。
 ☑ 希死念慮が強い。
 ☑ 自殺未遂や自傷行為を繰り返している。
 ☑ 他人とのコミュニケーションが取れない。
 ☑ 就労できない。
 ☑ 入浴は週に1~2度。
 ☑ 金銭管理ができない。
 ☑ 精神障害者手帳2級を持っている

逆に、次のような場合は不支給となる確率が高くなります。
 ☑ 毎日、就労している。
 ☑ 曲がりなりにも一人暮らしができている。
 ☑ 何とか家事がこなせる。
 ☑ 主治医が障害年金の申請に非協力的。
 ☑ 他人とのコミュニケーション能力には問題ない。
 ☑ 毎日、入浴している。

実際の審査では、「障害認定基準」や平成28年9月1日施行の「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」に沿って総合的に判定されることになります。

3、診断書の作成依頼

障害年金の審査は書類審査のみであり、日本年金機構の障害年金センターで一括処理されています。
審査官や認定医と一度も会話することなく、提出した書類ですべてが決まってしまいます。
その際、最も重視されるのが診断書です。
診断書の内容に妥協は許されません。
医師は月に1,2回程度の診察時の状態しか知りませんから、日頃の症状や日常生活状況をできる限り詳細に伝えて、実態に即した内容にしてもらうことが重要です。
そのためには、診断書を依頼する際に、次のような症状について具体的にまとめておき、自己申告書として手渡すことも効果的です。
 抑うつ気分、無為・無関心、焦燥感、思考力・集中力・意欲の低下、自責感、希死念慮、
 自傷行為、睡眠障害、食欲不振、疲労感、倦怠感、頭痛、頭重感、関節痛、発汗、
 息苦しさ、家族関係、コミュニケーション能力、調理、洗面・入浴、金銭管理、買い物、
 通院・服薬状況、金銭の出し入れ etc.
そして、できあがった診断書には隅から隅まで目を通してチェックしましょう。
診断書の一項目、一行でも軽く記載されると、もうそれだけで不支給となる場合もあります。
 ✔ 初診日は正確に記載されているか。
 ✔ 発病から現在までの病歴・経過などに誤りはないか。
 ✔ 教育歴・職歴・通院歴はきちんと記載されているか。
 ✔ 抑うつ状態についての記載は正確か。
 ✔ 日常生活能力の判定・程度は適切か。
 ✔ 予後の記載は妥当か。etc.
医師の作成した診断書だから誤りはないと思い込むのは禁物です。
これまでの経験上、ほとんどのケースで記載漏れやミスがありますので、そのときは遠慮なく訂正依頼を行いましょう。

4、病歴・就労状況等申立書の作成ノウハウ

診断書の次に重要なのが病歴・就労状況等申立書です。
病歴・就労状況等申立書とは、発病から現在までの経過や日常生活状況を請求者自身が自己申告するものです。、
通院歴、通院頻度、入院期間、医師の指示、転医・受診中止の理由、就労状況、対人関係、日常生活状況などを詳細に記載しなければなりません。
抽象的な表現や難解な用語はできるだけ避けて、実際にあったエピソード等を交えながら具体的に記載するのがコツです。
入院歴や休職期間があれば必ず記載しましょう。
病歴・就労状況等申立書のちょっとした表現の違いで不支給となってしまうこともあります。
診断書との整合性にも注意しながら、慎重に仕上げていく必要があります。
障害認定日まで遡って請求する場合は、病歴・就労状況等申立書の重要性が増します。
具体的には以下のような点に注意しながら作成しましょう。
 ✔ 周囲の人とのコミュニケーションは取れていたか。
 ✔ 家族、友人、職場の人とのトラブルはなかったか。
 ✔ 就労している場合は、仕事の内容、勤務日数・時間、欠勤、休職、遅刻 etc.
 ✔ 職場で周囲からサポートを受けていたか。
 ✔ 障害者雇用となっていないか。
 ✔ 掃除・洗濯・ゴミ出しなどの家事や公的な手続きはこなせていたか。
 ✔ 一人暮らしの場合、家族と同居できない理由や日常的な支援の状況。
 ✔ 自宅はゴミ屋敷となっていないか。
 ✔ 抑うつ気分などの具体的な症状をすべて記載しているか。
 ✔ 一人で規則的な通院や服薬ができていたか。
 ✔ 自傷行為はなかったか。
 ✔ 配膳や皿洗いなどを含めて、適切な食事が取れていたか。
 ✔ 着替え、歯磨き、洗髪、入浴等の衛生状況。
 ✔ 買い物や金銭管理は、きちんとできていたか。

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